賢い人たちのように長々と考察も引用もないと、あらかじめ逃げを打っておきます。


 中世ヨーロッパという表現方法をゲームなどでよく目にしますが、思い浮かんだり思い浮かべて欲しい映像は、厳密な意味ではなく固有名詞的表現としてのファンタジーRPGのそれです。日本独自といってもいい部分としてはなよなよしい体躯にもかかわらず大剣を装備してヘビーアーマーをまとっている騎士や戦士、白く透き通ったエルフが纏う装飾された絹のローブ姿の魔法使い、愛嬌のあるホビットなんかが出てきて、町並みは石畳やレンガ造りだったりする。出てくる城は、その規模たるや世界史になお残すレベルのものが至る所にあり、美しい女性が姫だったりヒロインになっていたりする。リアリティとはかけ離れているが、おおよそ購買者の求めるリアリズムが提供されているという感じ。


knight

 同じような文化的側面を前面に出していても、海外産だと国によっても方向性が違ったりするし、いわゆる泥臭かったり負の側面も再現してあったりする、より現実にあった方向性でのリアリティにベクトルだと感じている。おそらく骨格がおかしいホスト顔で高身長だがが体の良くないものが、未知の腕力でツヴァイヘンダー(Zweihänder 日本語だとツヴァイハンダーの表記が大勢)を軽々と振るう。おまけにタワーシールドを背中にしょっていたりするんだ。スゴイ。

理想的な表現としては大いにありで、そもそも魔法なんかがあり得ないんだからという元も子もない話をしないのであれば、見た目の「すげーかっちょいいー」度数に準ずる物語の展開や衣装はJRPGの良さでもあるのよね。ただ、中世ヨーロッパっていうとゲームっていう人も出てくるくらいの固定表現になってきているので、世界史を少しでも読んでみるとまた面白い世界が広がっていくよなって。それは余りに乖離しているけれど、神々や神器、武具なんかは神話や伝承を参考にしていたりするし、そういうところでは整合性も取ろうとするから摩訶不思議なんだけれど妙にリアリズムを持ち合わせている。独自の路線なんだろうけれども、興味深い。

たとえば、The Elder Scrolls なんかは好きなんですが、その構築された世界観はゲーム内キャラクターたちの膨大な台詞、実際に読める本など全てが濃密です。特に書物に至っては、たとえば大まかな歴史や流れなどはもちろん、錬金術に関して、組合に関して、各種族の文化、特徴ある偉人について、魔法について、魔法の体型について、文化的側面、政治の話、宗教と民族、衣食住などの風俗など多岐にわたり恐ろしい分量です。それが深みを与えてもいます。また、1作目のArenaから5作目のSkyRimまでありますが、全て繋がっていますし、補完されるように作られているのでより深まるのです。これらを全て網羅せずとも、仮に断片的で小片を集めてゲームを終了したとしても、そのピースが時折連携することがユーザーに快感をもたらしてくれます。その世界を少し垣間見たということに。

杓子定規の「中世ヨーロッパ」からの脱却を図るために、超未来的文明との共存などを試みたものも多いですが圧倒的に成功を収めた感じにもなっていません。商業的にここが成功したとしても、「中世ヨーロッパ」を塗り替えるほどのストリームを作り出せていないわけです。召喚魔法はかっちょいいから好きだけれど、車に変身するようなのはやっぱり嫌というのもわかりますしね。ならば、ベタといわれようがそれを貫いて欲しいなとも思ったりして。

Wizardryの#1~#5も一定以上の人間が中世ヨーロッパファンタジーといっているからこそ、版権が移管しても刃こぼれした焼き回しが乱造される昨今です。そういう遊び方も面白いよねっていうのと、Wizardryはアイテム探しと果てしなき冒険するのが本当の(笑)Wizとかの人とは意味合いも違うのでなんともいえないけれど。それだけ愛されているってことは、嬉しいことではありますが微妙なとこですね。ベニー松山氏の功罪といったら失礼だし、キャラクターデザインで末弥純氏にお願いしたってのは後の印象を決定的にしたのかなあと。そういう意味ではファミコン版からしか遊んでいない層は有り余るほど理解できるし。事実私もAppleⅡ版とか遊んだことはないヘタレ。

中世ヨーロッパファンタジーという、エクスカリバーくらいのパワー。幾年か経過すると、これに変わるようなものも出てくるのかと思うと寝られない。

方向性も脈絡もなく、ふと思っただけで書き殴りです。読み返してませんので文意も定まっていない垂れ流し。どうせ誰も見ないので、そこはいいか。




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